特定看護師について

特定看護師について

患者の症状にあわせて

必要な適切な処置ができる

実践能力の高い看護師

Q1.特定看護師とは?

看護師が行う業務は、保健師助産師看護師法によって「療養上の世話又は診療の補助」と定められています。
医師による診療は、医師のみしか実施できない「絶対的医行為」と、看護師が「診療の補助」として実施することができる「相対的医行為」に分類されますが、従来は両者の境界が厳密には規定されていませんでした。そこで、相対的医行為のうち高レベルな行為を明確に区別し、「特定行為」として位置付けました。
その特定行為とは、21行為区分38行為であり、この行為を実践するための必要な高度知識と技術を指定機関で学び修了認定を受けた看護師のことを特定看護師といいます。

Q2.今、なぜ特定看護師が必要なの?

超高齢社会を迎え、医療資源の限界がある中、国は今後の入院医療のあり方の見直しと在宅医療の推進を目指しております。そこに病床数の削減や医師や看護師不足も懸念されています。こうした中、多職種協働によるチーム医療の展開が必要とされ、特に看護師の役割拡大が重要な時代となりました。どのような役割かというと、難易度の高い診療の補助業務を、医師があらかじめ作成する「手順書」という包括的指示のもと実践するという役割です。入院でも在宅でも、医師の到着を待たず、患者の症状にあわせて必要な適切な処置ができる実践能力の高い看護師が増えると、症状が悪化せず、患者にとっても医療者にとってもメリットが大きいのです。

Q3.仕事の内容はどう変わるの?

特定看護師の仕事内容で普通の看護師と大きく違う点は、医師の作成した「手順書」をもとに、個人の判断で「特定行為」を行えることです。
通常の看護師の場合だと、医師からの指示を受けて診療の補助を行わなければなりません。しかし、医師も多忙ですので、看護師は指示を待つだけでは患者さんに対し迅速に対応することができませんでした。
もちろん特定行為を行うことはリスクを招く場合もあるため、「特定行為研修」を修了した者のみが手順書に基づいて特定行為を実施することが可能です。

特定行為は次の21行為区分38行為です。
色付き部分が当院での特定行為区分・特定行為です。

特定行為区分及び特定行為(21行為区分38行為)

呼吸器
(気道確保に係るもの)関連
  • 経口用気管チューブ又は経鼻用
  • 気管チューブの位置の調整
呼吸器
(人工呼吸療法に係るもの)関連
  • 侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
  • 人工呼吸器からの離脱
呼吸器
(長期呼吸療法に係るもの)関連
  • 気管カニューレの交換
循環器関連
  • 一時的ペースメーカの操作及び管理
  • 一時的ペースメーカリードの抜去
  • 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
  • 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助頻度の調整
心嚢ドレーン管理関連
  • 心嚢ドレーンの抜去
胸腔ドレーン管理関連
  • 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及び設定の変更
  • 胸腔ドレーンの抜去
ろう孔管理関連
  • 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
  • 膀胱ろうカテーテルの交換
栄養に係るカテーテル管理
(中心静脈カテーテル管理)関連
  • 中心静脈カテーテルの抜去
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型
中心静脈注射用カテーテル管理)関連
  • 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
創傷管理関連
  • 褥(じょく)瘡(そう)又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
  • 創傷に対する陰圧閉鎖療法
創部ドレーン管理関連
  • 創部ドレーンの抜去
動脈血液ガス分析関連
  • 直接動脈穿刺法による採血
  • 橈骨動脈ラインの確保
透析管理関連
  • 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液
  • 透析濾過器の操作及び管理
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
  • 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
  • 脱水症状に対する輸液による補正
感染に係る薬剤投与関連
  • 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
血糖コントロールに係る薬剤投与関連
  • インスリンの投与量の調整
術後疼痛管理関連
  • 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
循環動態に係る薬剤投与関連
  • 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
  • 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
  • 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
  • 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
  • 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連
  • 抗けいれん剤の臨時の投与
  • 抗精神病薬の臨時の投与
  • 抗不安薬の臨時の投与
皮膚損傷に係る薬剤投与関連
  • 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整

厚生労働省令第33号(平成27年3月13日)
※特定行為の詳細は厚生労働省のホームページをご確認ください。

看護師の特定行為研修の実習へのご協力のお願い

看護師特定行為研修の研修生である看護師が患者さんを担当させていただくことについてのお願いを以下のとおりご説明申し上げます。

看護師の特定行為について

特定行為とは、医師の指示(手順書)に基づいて、看護師が診療の補助を行うことです。
その特定行為とは、21行為区分38行為であり、この行為を実践するための必要な高度知識と技術を指定期間で学び修了認定を受けた看護師のことを特定看護師と言います。
(※特定行為の詳細につきましては厚生労働省のホームページをご確認下さい)

特定行為研修について

当院は、「特定行為研修指定研修機関」の連携協力施設となっています。5年以上の看護実務経験を持ち、当院の審査に合格した看護師を対象として、看護師特定行為研修を行っています。この研修の一環の実習として、研修生が患者さんを担当し、特定行為を行うことがあります。
以下の事項を守り実習を行いますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

  1. 実習を行う場合、「創傷管理関連」、「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」、「血糖コントロールに係る薬剤投与関連」、「循環動態に係る薬剤投与関連」の内容について事前に分かりやすい説明を行い、患者さんまたはご家族の同意を得て実施します。
  2. 患者さんの安全の確保を最優先し、事前に指導医師などの助言や指導を受けて実習に臨みます。
  3. 患者さんとご家族は、実習に関するご意見やご質問があれば、指導医師や研修生以外の看護師などに直接おたずねになることができます。
  4. 患者さんとご家族は研修生が担当することに同意した後も、この実習を拒否することができます。また、拒否したことを理由に治療および看護上の不利益を被ることはありません。
  5. 研修生は、実習期間中に、患者さんやご家族の情報を診療録や看護記録などを通じ、また患者さんやご家族との関わりを通じて取得しますが、取得した情報についてはプライバシーの保護に努めます。